転職エージェントに登録すると中小企業の求人が多いのか
転職エージェントに登録して求人の紹介を受けると中小企業からのものが目立つ傾向があります。
大企業に転職して安定した生活を送れるようにしたい、ベンチャー企業に入って自分の力を発揮したいといった人には向かないものなのでしょうか。
また、中小企業に転職したいという希望を持っている人が使うときの注意点も押さえておきましょう。
目次
中小企業からの求人が多い理由とは
転職エージェントのウェブサイトに公開されている求人情報を見たり、登録して最初の求人紹介を受けたりすると中小企業ばかりが目に入ってしまうことは珍しくありません。
転職エージェントを利用するとどうして中小企業からの求人を紹介されることが多いのでしょうか。
中小企業の方がもともと多いから
まず企業や従業員の数について考えてみると圧倒的に中小企業が多いからというのが最大の理由です。
日本では大企業と中小企業が明確に定義されていて、それぞれがどの程度の数になっているかが集計されています。
その統計によると大企業の数はわずか1%程度しかないのです。
従業員数でも大企業で働いている人は30%程度なので、残り70%は中小企業で働いていることになります。
どちらの指標を用いて考えても求人の割合は中小企業の方が多くなるのは想像に難くないでしょう。
人材紹介を使いたい状況に立たされているから
転職エージェントに求人がある企業は人材紹介サービスを利用して人材を獲得したいと考えています。
人材紹介は適材を見つけやすいのが魅力的な点ですが、ハローワークなどに求人を出して応募してくれる人を見つけられた方が企業にとって得があります。
人材紹介を受けて人材を雇用すると、その年収の金額に比例する報酬を転職エージェントに支払わなければなりません。
年収の3割前後が相場になっているので、600万円で雇うと180万円もの出費が出てしまうのです。
それでもなお人材紹介サービスを使わなければならない状況に立たされている中小企業が多いのも、転職エージェントから中小企業の求人が紹介されやすい理由です。
その背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
求人を出しても応募してくれる人が少ない
中小企業の多くは求人を出しても応募してくれる人がほとんどいないので困っている傾向があります。
大手に比べると知名度が低いのが問題で、他に知っている企業があるとそちらを優先して応募してしまう人が多いのです。
また、経営基盤を見たときに安定しているとは限らず、先行きが不透明になっている中小企業も少なくありません。
本当に転職先として選んで大丈夫なのかと悩んだときに、他をもう少し見てからにしようと思われてしまいやすいでしょう。
新卒の獲得で苦労してしまいやすい
求人を出しても応募者が少ないという問題は中途採用に限ったことではありません。
中小企業は新卒の獲得にも苦労するようになってきました。
少子化の影響で若い人材が少なくなっているにも関わらず、企業の数も増えて人材を獲得したい現場が多くなっています。
大企業では新卒を採用して成長させる基盤が整っているため、新卒からも人気が高くなっています。
そのため、知名度の低さや規模の小ささが問題になる中小企業では大企業から内定をもらえなかった新卒をうまく採用できるかどうかで競争しているのが現状です。
新卒を獲得できないと貴重な若手の人材がいなくなってしまうため、第二新卒や既卒などをターゲットにして人材紹介を使おうと考えるようになります。
改革を起こさないと経営が立ち行かなくなりやすい
中小企業では優秀な人材を獲得するのが切実な課題になっていることもあります。
漫然と事業を行っているだけでは他企業との競争に負けてしまい、経営が立ち行かなくなるリスクがあるからです。
経営基盤が安定していない場合には特に重大な問題で、何とかして事業改革を起こそうとするでしょう。
そのために必要な人材を社内から見つけることが難しく、優秀な人材を紹介してもらうために転職エージェントに相談しているのです。
このようなときにはヘッドハンターにも相談しているケースもあり、転職エージェントのサービスを経て貴重な求人を紹介してもらえることもあります。
優秀な人材が出て行ってしまいやすい
中小企業も優秀な人材を確保できることはしばしばあります。
しかし、大手企業やベンチャー企業で働きたいと考えて退職してしまうケースも珍しくありません。
出て行った人の穴を埋めるために、即戦力になる人材を獲得したいと考えることになるでしょう。
すぐにでも人材が必要となると求人を出して指を咥えて待っているわけにもいきません。
多少の費用がかかったとしても、人材紹介サービスを利用してすぐに人材を確保することになりやすいのです。
大企業やベンチャー企業からの求人はあるのか
中小企業の求人ばかりだとなると転職エージェントを使っても大企業やベンチャー企業に転職するのは難しいのではないかと考える人もいるでしょう。
試しに転職エージェントのウェブサイトを見てみても、自分の希望する業種や職種では募集が一つも見つからないかもしれません。
本当に大企業やベンチャー企業に転職するのは難しいのでしょうか。
大企業やベンチャー企業からのニーズはある
実際には転職エージェントに登録して求人の紹介を受け、大企業やベンチャー企業に転職している人も大勢います。
大企業でも新しい考え方を取り入れたいと考えていたり、新規プロジェクトに参画する優秀な人材を探したりしているときには人材紹介サービスをよく利用しています。
また、ベンチャー企業も人材を増やせる段階にあると現場の状況に合わせて適任者を速やかに見つけられるように人材紹介を活用しているのが一般的です。
ただ、このような求人があまり目立たないのには理由があります。
非公開求人になっていることが多い
転職エージェントはこの大企業とつながりがあって紹介した実績があるという点をアピールしていることもありますが、その求人が見つからないこともあるでしょう。
実は大企業やベンチャー企業からの求人は公開されていない場合が多いのです。
求人を見て応募したいという人がいたら、たとえ適材でなかったとしても転職エージェントは応募を断ることは難しいでしょう。
応募書類を整えてもらい、企業に送ることくらいはしなければなりません。
すると企業側は書類に目を通し、内容を確認して理由をつけて不採用としなければなりません。
非公開にしておくことでこのような無駄な労力が発生しなくて済むのです。
大企業でもベンチャー企業でも即戦力を求めていて、かなり要求が細かいことがほとんどです。
その適材がいたときだけ速やかに紹介して欲しいというスタンスで転職エージェントと契約しているでしょう。
大企業の場合には平凡な人材を探すだけなら求人を出すだけでも簡単に見つけられるので、優秀な人材を見つけたいときにだけ人材紹介サービスを活用しているのです。
ベンチャー企業の場合には人手がもともと最小限になっていて、次に採用した人の実力次第で経営が立ち行かなくなるリスクがあります。
また、人材採用に時間をあまり割けないほど忙しいことが多く、人材紹介で十分にふるいをかけてもらってから人選をしているのが通例です。
中小企業を選ぶときのポイントとは
転職エージェントを使うと中小企業からの求人が豊富で、よく比較検討した上で選べるのは魅力です。
中小企業に転職しようと決めたときにはどのようなポイントを押さえておくと失敗しないのでしょうか。
よくある失敗例を参考にして成功の道を歩めるようにしましょう。
大手のように待遇が充実しているとは限らない
中小企業への転職でしばしば問題になるのが待遇です。
大企業で働きたいと思っていた人は慎重にならなければならないポイントでしょう。
給与水準は大企業に比べると低めですが、労働環境についても同様の傾向があります。
残業が多い、手当が少ない、年間休日数が少ないなどといった細々とした待遇でも大企業に劣ってしまいがちです。
福利厚生がどの程度充実しているかは中小企業の間でも雲泥の差があるので、よく比較して決めるようにしましょう。
ベンチャー企業のように裁量が大きいとは限らない
ベンチャー企業で働きたいと思っていた人が注意すべきポイントとして挙げられるのが裁量の大きさです。
風通しが良くて意見を言いやすいのはベンチャー企業の魅力ですが、中小企業では歴史の長さにも規模にも大差があるので風通しの良さは現場によってかなり違います。
転職エージェントに相談して採用された後の裁量の大きさについて明確にしておいてもらった方が後悔しないでしょう。
裁量が大きいほど責任も大きくなるので、自分なりに納得できるバランスを考えておくことが大切です。
なぜ人材募集をしているかを考えてから応募しよう
中小企業に応募するときには、なぜ求人を出しているかをよく調査することが大切です。
その内容次第では自分が適役だとわかり、企業からすると喉から手が出るほど欲しいと思うと考えられる場合もあるでしょう。
そのようなときには交渉をすれば待遇や裁量の問題は改善できる可能性があります。
詳しい情報が見つからないときには転職エージェントに聞いてみると教えてくれる場合もあるでしょう。
年収交渉をしたいと切り出すと、転職エージェントとしても収入が増えるので前向きに検討してくれると期待できます。
中小企業に限らず転職先を探せる転職エージェント
転職エージェントで扱っている求人は数の上では中小企業からのものが多いのは確かです。
しかし、転職エージェントには大企業やベンチャー企業からの人材紹介の依頼も来ていて、大半は非公開求人として扱われています。
能力やキャリアから考えて優れている人の場合には登録すれば紹介を受けられる可能性があるでしょう。
状況から考えると中小企業に絞った方が選択肢は広く、納得できる条件が揃った職場を見つけられる可能性も十分にあります。
条件は交渉の余地もあることを念頭に置いて、やりたいことができる職場を探してみましょう。